こんにちわ。かつおです。
ごきげんいかかがですか。本日は「McDonald's Corp.(MCD)」を取り上げたいと思います。しばらくはダウ構成銘柄を中心に業績分析をやりたいと思います。サクッと業績推移を知りたい方や、じっくり財務状況まで知りたい方にむけて手軽に読めるようにまとめました。英語の本家サイトはわかりづらいですし、日本版の勘定科目名との対応をいちいち調べるのが面倒な方にお勧めします。マクドナルドといえば、日本マクドナルドを思い浮かべる方もいますが、本家アメリカの方の業績分析です。
なお、本記事にて掲載されているデータは、米国の証券取引委員会u.s.securities and exchange commissionのEDGARにて公開されている、決算情報に基づき管理人にて加工しグラフや表を作成しております。日本でいうところの、金融庁の有価証券報告書の公開サイトに近いものです。誰でもデータ閲覧可能です。
1.損益の長期推移について
はじめに、売上高、営業利益、純利益、営業利益率について、2008年から11期分を見てみます。マクドナルドは12月本決算となりますので、最新の本決算は2017年12月期です。推移を図1に掲載します。売上高については、かつてよりも低下トレンドのようにも見受けられますが、利益については安定して一定水準を確保し続け、営業利益率は高い水準です。事業売却を進め、フランチャイズ化を進めている効果だと推察します。2017年度決算では、売上は対前年であまり変化はないものの、原価低減や人件費減などに営業利益は、比較期間中で最高水準になっています。【図1.損益推移グラフ(画像クリックで拡大)】

健康志向の高まり等もあり今後の売上高の伸びはどうなるか読めないところもありますが、景気変動に左右されにくい体質であると言えます。配当についても、表1に記載のとおり、連続増配となっており、多少利益が下がっても減配しない姿勢は、株主目線の経営姿勢をうかがい知ることができます。日本企業の場合だと、対前年で減益になると配当をよくて前期維持程度、または平気で減配する企業が多いです。「今後の事業環境を鑑み、内部留保により財務体質を強化していく」等と、もっともらしいことをいいます。減益の責任はあまりとられることはあまりありませんですし。

健康志向の高まり等もあり今後の売上高の伸びはどうなるか読めないところもありますが、景気変動に左右されにくい体質であると言えます。配当についても、表1に記載のとおり、連続増配となっており、多少利益が下がっても減配しない姿勢は、株主目線の経営姿勢をうかがい知ることができます。日本企業の場合だと、対前年で減益になると配当をよくて前期維持程度、または平気で減配する企業が多いです。「今後の事業環境を鑑み、内部留保により財務体質を強化していく」等と、もっともらしいことをいいます。減益の責任はあまりとられることはあまりありませんですし。
【表1.1株純利益と1株配当推移】
単位:USドル | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1株当たり純利益 | 4.11 | 4.58 | 5.27 | 5.36 | 5.55 | 4.82 | 4.80 | 5.44 | 6.37 |
1株当たり配当 | 2.05 | 2.26 | 2.53 | 2.87 | 3.12 | 3.28 | 3.44 | 3.61 | 3.83 |
2.フリーキャッシュフローについて
次にキャッシュフローを図2に掲載します。営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いた、フリーキャッシュフローの推移を11期分記載しております。また、現預金の期末残高も掲載しております。安定した利益がでていますので、当然営業キャッシュフローも安定しており潤沢だと言えます。投資も、適度な範囲で行われておりフリーキャッシュフローは長期で見ても安定しています。リーマンショック後の不景気においても、赤字になるわけでもなく、かつて食品不祥事的な事件もありましたが、振り返ってみてみると業績的にはあまりダメージはなかったようです。なお、2017年度のみ投資キャッシュフローがプラスとなっているのは、事業売却による収入が15億ドル程度あったことが効いているためです。【図2.フリーキャッシュフロー(画像クリックで拡大)】

3.バランスシート(財務状況)はどうか
続いて財務状況についてです。バランスシート(以下「BS」と表記)ですが、各年度末の状態を時系列で図3に記載します。見ておわかりになると思いますが、2013年以降に株主資本が減少しつづけ、2016年12月末と2017年末では、資産よりも負債が大きくなっており。いわゆる「債務超過」の状態となっています。【図3.バランスシート推移(画像クリックで拡大)】

しかしながら、これは変だと思われませんか?毎年黒字が続き、営業キャッシュフローも潤沢にあり、フリーキャッシュフローも高い水準であれば、財産状況は悪くなるなんて。例えば、普通の家計で考えても、お金がたくさん入ってきて特に出費しないのに財産状況が悪いなんて、変ですよね。マクドナルドの経営はやばいのでしょうか。
答えはNOだと思います。戦略的に見かけ上債務超過の状態にしているのだと考えます。なぜなら、株主資本の詳細をみればわかります。表2に株主資本に内訳推移を記載してありますが、一口に株主資本といっても実際は内訳があります。その中で、利益剰余金がしっかりとプラスで推移しており、自己株式取得がマイナス影響を与えているからです。株主還元策として自己株式取得を推進しており、自己株式取得は株主資本の部でマイナス計上となります。おそらく、固定負債が大きくなっていますから、借入も行いながら自己株式取得を積極的にまわしているのだと思います。通常の営業活動で利益が継続的にだせていますので、いつでも債務超過解消をできる自信があるのだと推察します。日本だとこういった大胆な経営はできないですね。なお、本当にやばい債務超過とは赤字が続き、利益剰余金が減少していく方です。会計上、当期純利益は配当にまわす分を控除後、利益剰余金に組みいられます。いわゆる内部留保というやつです。
【表2.株主資本内訳】
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
---|---|---|---|---|---|
資本準備金 | 5,994 | 6,239 | 6,533 | 6,758 | 7,072 |
利益剰余金 | 41,751 | 43,295 | 44,595 | 46,223 | 48,326 |
評価・換算差 | 428 | -1,520 | -2,880 | -3,093 | -2,178 |
自己株式取得 | -32,180 | -35,177 | -41,177 | -52,109 | -56,504 |
その他 | 17 | 17 | 17 | 17 | 17 |
株主資本計 | 16,010 | 12,853 | 7,088 | -2,204 | -3,268 |
4.株価はどうだったか
最後に、過去10年間の株価リターン推移を見てみましょう。図4が推移となりますが、比較先としてS&P500と日経平均を同時掲載しております。リーマンショック時から掲載しましたが、確かに下落しているのですがあまり影響を受けていない印象を受けます。ディフェンシブ銘柄感がでていますね。不景気になったら、ハンバーガー食べるのやめようとかにならないですもんね。こういう生活に根差した商品を展開する企業は、不景気に強いですね。また、ブランド力も強く不祥事があってもすぐに株価は戻っていますね。また、リーマン後のリターンが勢いがすごいです。このグラフは配当込みではないはずですが、S&P500よりも高パフォーマンスでした。なお現在PERは、29倍程度です。【図4.株価推移(画像クリックで拡大)】
※[出所:Trading Viewにてチャート作成)]
Trading Viewでは条件を満たせば
チャート掲載が許可されています。
