こんにちわ。かつおです。ごきげんいかかがですか。
本日は「Nike, Inc.(NKE)」(以下、ナイキと表記)の業績推移を評価します。
ナイキは、1968年に設立され、アメリカ合衆国のオレゴン州に本社があり、スニーカーやスポーツウェアなどスポーツ関連商品を展開するグローバル企業です。誰もが知る超有名な企業で、ブランドも世界中に浸透しています。
過去10年間の損益、キャッシュフロー、財務状況を調べてみました。スポーツ関連のグローバル企業は、数字からどんな顔が見えてくるのか迫りたいと思います。興味のある方は、拙い文章ですが、お読みいただければ幸いです。
本記事にて掲載されているデータは、米国の証券取引委員会u.s.securities and exchange commissionのEDGARにて公開されている、決算情報に基づき管理人にて加工しグラフや表を作成しております。日本でいうところの、金融庁の有価証券報告書の公開サイトに近いものです。誰でもデータ閲覧可能です。
1.損益の長期推移について
はじめに、売上高、営業利益、純利益、営業利益率について、2008年から11期分を図1にまとめました。売上高、営業利益ともに右肩上がりで推移しており、営業利益率は13%前後で安定して推移しています。【図1.損益推移グラフ(画像クリックで拡大)】

なお、1株当たり配当や純利益の直近推移を表1に記載します。1株純利益は、最近は低下傾向に見えます。また、1株配当も横ばいか、もしくは低下気味といった感じです。

リーマンショック直後の時期についても、売上や利益を落とさず安定した業績でした。スポーツ関連製品の企業ということから、趣味嗜好的な要素で不景気の影響を受けそうなイメージを持っていましたが、私の持っていたイメージとは異なっていました。
ナイキ製品は必ずしもスポーツをする人だけが買うわけでなく、スニーカーなど一般的な衣料品として買われる方もいますので、生活必需品とか生活用品に近い性質があるのでしょう。
私自身も、ふつうに私服としてナイキのスニーカーを買ったり、子供にも買ったりしますので、一般生活者にブランドが広く浸透しており、不景気の影響を受けにくいのかもしれませんね。
なお、1株当たり配当や純利益の直近推移を表1に記載します。1株純利益は、最近は低下傾向に見えます。また、1株配当も横ばいか、もしくは低下気味といった感じです。
【表1.一株当たり純利益及び配当推】
単位:USドル | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1株当たり純利益 | 3.74 | 3.03 | 3.86 | 4.39 | 4.73 | 2.68 | 2.97 | 3.70 | 2.16 | 2.51 | 1.17 |
1株当たり配当 | 0.88 | 0.98 | 1.06 | 1.20 | 1.39 | 0.81 | 0.93 | 1.08 | 0.62 | 0.70 | 0.78 |
なお、配当性向は、20%強~30%の範囲で、米国株にしては必ずしも高い方とは言えず、株主還元志向は少し低いのかなという印象を受けます。市場環境などの外部環境の悪化等に備え、内部留保を重視しているように見受けられ、割と慎重な経営方針である印象を受けます。
2.フリーキャッシュフローについて
次にキャッシュフローを図2に掲載します。営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いた、フリーキャッシュフローの推移と期末現金残高の推移を11期分です。安定した利益がでていますので、フリーキャッシュフローに余裕がありますね。【図2.フリーキャッシュフロー(画像クリックで拡大)】

少し気になるのが、投資キャッシュフローがプラスに転じている年が3回あり、期末現預金が右肩上がりになっている点です。強いブランド力があるがゆえに、あまり投資が必要ないのでしょうか?よくわかりませんが、有望な投資先が見つかるまで、待っているのかもしれませんね。
3.バランスシート(財務状況)はどうか
続いて財務状況です。バランスシート(以下「BS」と表記)ですが、各期末を時系列で図3に記載します。流動資産が大きいのが特徴ですが、事業の内容から棚卸資産が多いことが特徴です。また、株主資本の部が厚く、自己資本比率が高めな状況です。【図3.バランスシート推移(画像クリックで拡大)】

損益の項で、内部留保が高めで慎重な経営姿勢だと指摘しましたが、もしかしたら、この棚卸資産のリスク、つまり不良在庫リスクもあることから、内部留保を高めて財務体質を厚めにする方針なのかもしれません。推測ですが。
4.株価はどうだったか
最後に、過去10年間程度の株価リターン推移を見てみましょう。比較先としてS&P500と日経平均を同時掲載しました。リーマンショック時は、影響を受けて下落してはいますが、他よりも下落幅は少なめです。当時の業績は悪くありませんでしたが、市場環境につられて売られてしまったのでしょうね。この時にナイキを信じて買い続けた方は、報われていますね。
景気に左右されにくい、ディフェンシブな銘柄と言えなくもないですが、悲観的な相場環境の時に、躊躇なくこの企業のブランド力を信じて買い向かうことができるかは、難しいところですね。もしかしたら、製品売れなくなるかもしれないと思えてしまいますし。
【図4.株価推移(画像クリックで拡大)】
※[出所:Trading Viewにてチャート作成)]
Trading Viewでは条件を満たせば
チャート掲載が許可されています。

5.まとめ
いかがでしたか?業績的に素晴らしい実績を出し続けており、ブランド力で世界中に浸透している素晴らしい企業だと感じます。あくまでも、過去実績についてはです。懸念点としては、つみあがった内部留保やキャッシュを元に、今後どのような株主還元や投資を行っていくかが気になるところです。
経営方針が、おなじみのマークをつけときゃ売れるよみなたいな姿勢じゃないことを祈りつつ、新商品開発や研究開発等の投資が積極的に行われることを期待します。また、ディフェンシブ銘柄かと言われると、若干気になる要素があります。不景気時には、スポーツ用品の買い控えとかはありえそうで。
最後までお読みいただきありがとうございました。投資は自己責任でお願いします。