こんにちわ。かつおです。
前回の記事で、平均年収ランキングについてご報告しましたが、そこから日本の家計収入がどうなっているか気になってので調べてみました。年収ランキングも気になりますが、総務省統計局の家計調査に興味深いデータが公開されていますので紹介したいと思います。そもそも、日本の家計全体として所得は増えているのでしょうか。
日本人の所得は増えていなかった?
はじめに、勤労世帯の手取り年収の推移を見てみましょう。勤労世帯には、会社役員等の経営者層等の人は含まれておらず、一般的な労働者層が調査対象となっています。また、働いていない方々もふくまれていません。一般的なサラリーマン家庭のイメージに近いデータと考えられます。
[図1.平均手取り年収の推移(勤労世帯)]
平均年収となりますが、税込み年収(いわゆる額面年収)はここ8年間横ばいです。2010年と2017年を比べると、税込み年収、手取り年収ともに減っています。これでは、確かに世間の方々が景気が良くなったとは実感できないですよね。手取り年収が減る要因としては、社会保険料が増加していることも要因です。日々の暮らしの中では、あまり気になりませんがこうして並べてみると、増加傾向にあり日本の抱える、高齢化社会等の問題がリアルに実感できます。
社会保険料はどれくらい増えた?
では、いったい社会保険料はどのような推移となってきたのでしょうか、表1が過去8年間の推移となり平均値です。千円単位での表示としてありますが、2010年と2017年の比較で、年金で+38千円/年、健康保険料で+19千円/年、介護保険料で+8千円/年となり、合計で65千円/年増加しています。1か月あたりおよそ5千円程度手取り額が減っていることになります。
[表1.年間所得税・社会保険料の推移(図1における②の内訳)]
単位:千円 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
直接税(所得税・住民税) | -431 | -420 | -429 | -449 | -443 | -443 | -427 | -439 |
公的年金保険料 | -331 | -330 | -340 | -352 | -348 | -360 | -352 | -369 |
健康保険料 | -184 | -187 | -199 | -210 | -206 | -211 | -202 | -203 |
介護保険料 | -17 | -17 | -20 | -22 | -23 | -24 | -23 | -25 |
他の社会保険料 | -19 | -20 | -18 | -18 | -17 | -17 | -14 | -11 |
その他 | -1 | -1 | -1 | -1 | -1 | -1 | -2 | -1 |
合計 | 983 | -976 | -1,007 | -1,051 | -1,037 | -1,056 | -1,020 | -1,047 |
この間、給料のベースアップがあったとしても、社会保険料の増加に追いつけず実質給料が増えておらず、生活が楽になったと感じることはなく、見通しは苦しいと回答する人がいても不思議ではありませんね。これでは、家計側としても財布の紐を引き締めざるをえず、消費税の増税もあいまって中々消費も進まないわけですね。
投資で増やせばよいのでは
それでは、所得が増えないなら投資で資産を増やす行動にでたかどうかを見てみましょう。図2は、勤労世帯における、有価証券の平均年間購入額の推移です。
[図2.平均年間有価証券購入額(勤労世帯)]
年間で1世帯当たり11,000円~15,000円程度となっており、平均額が低いことから投資自体がまだまだ日本人全体にあまり普及していないことが推察されます。また、興味を引く点としては、購入額の動き自体が、相場環境の良い時は増え、相場環境が悪い・見通しが不透明な時には減少しているように見受けられます。
アベノミクス開始時の2013年ごろから上がり、2015年のチャイナショックで下がり、2017年の上昇相場では購入額が上がっています。まさに、高く買って安く売る感じで、推移が一定でないのが日本人の投資行動の特徴をよく表しているのではないでしょうか。つみたてNISAの普及により、このあたりの投資行動が変化してくるとよいですね。
まとめ
所得は増えない、社会保険料は増える、今後このトレンドが変わるかは難しいところと思います。社会保険料の増加トレンドはなかなか解決しづらいと思いますが、所得を増やすことは自助努力でまだ何とかなりそうです。
給与を受け取る側からすると、企業の内部留保が史上最大になっているなら、経営者は従業員にもっと還元すべきだという主張を聞くことがありますが、もちろんそうなることが望ましいとは思います。ただ、人件費の増加というのは経営者側は非常に敏感でありますので、正直なところ望みが薄いと思われます。期待して待っているうちに、時間が過ぎ、不満が蓄積していくだけな気がします。なので、自助努力が必要でしょう。
所得推移を見てみると、2019年からの消費税UPは景気に冷や水を浴びせる可能性は高く、一般生活者からすると、さらに家計防衛の志向が強まりそうです。根本的に、社会保障費自体を見直すことも必要かもしれませんね。
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