こんにちわ。かつおです。
最近の日米の株価の下落っぷりは勢いがいいですね。つみたてNISAは2018年1月より開始されましたが、つみたてNISAをきっかけに投資をはじめた人は、きつい洗礼を受けていることになっているでしょう。
下落相場は積立投資家には歓迎すべき状況だという意見もあり、ドル・コスト平均法の効果が生きてくると言われています。今日は、積立投資の効能について気休めのための記事を書きます。投資初心者の方向けの内容です。
1.2018年の初来株価の推移
日経平均とダウの年初来の株価推移を以下に記載します。年初に大幅に下げて、夏以降に上昇基調に転じたと思ったら、この年末に急滑降という感じですね。 [日経平均株価 年初来推移]
[ダウ工業平均株価 年初来推移]
私の職場でも、今年から確定拠出年金を導入しており、ほとんどが初めて投資を開始した人たちばかりです。間違いなく、我が社の従業員は、下落コースターに同乗しております(笑)。下落相場は、積立投資にとってはメリットがあると言われても、ぶっちゃけ下落って嫌ですよね。私は、いつも嫌です。永久に上昇し続けてほしい、という無謀な夢を持ちたいところですが、そうは問屋が下ろさないわけで。ここは、ドル・コスト平均のメリットを振り返ることで、メンタルを慰めましょう。
2.ドル・コスト平均法のおさらい
ドル・コスト平均とは、ざっくりいうと、定量でなく定額で定期的に株式や投資信託などの金融商品を購入するもので、投資手法の一つです。金融商品を購入する場合、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ、時間を分散して定期的に継続して投資します。そうすることで、高値掴みのリスクを避けることができ、価格が高い時は購入数量が少なく、安い時には多くなるため、平均取得単価を下げることを狙ったものです。価格が大きく上下に変動する場合に、有効ですが、万能ではありません。価格が右肩上がりに上昇し続けるものの場合、平均取得単価が高くなっていきますので、右肩上がりが分かっているのなら、一括で購入しておいた方が安くすみます。
投資手法としては、有利でも不利でもなく、定期的に継続するということから投資を続けやすく、気休めとしては役立つと言われています。
3.シミュレーションの前提について
試しに、ドル・コスト平均法の効果をシミュレーションしてみましょう。前提条件として、あるファンドを表1の基準価額で、12か月継続して毎月1万円購入する場合と最初に一括購入する場合を比較します。価格推移のイメージがわきやすいように表1をグラフ化しておきます。[表1.基準価格推移の前提]
基準価額(1万口当り) | |||||
---|---|---|---|---|---|
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 5ヶ月目 | 6ヶ月目 |
¥10,000 | ¥12,000 | ¥11,000 | ¥9,000 | ¥5,000 | ¥6,000 |
7ヶ月目 | 8ヶ月目 | 9ヶ月目 | 10ヶ月目 | 11ヶ月目 | 12ヶ月目 |
---|---|---|---|---|---|
¥7,000 | ¥6,500 | ¥7,000 | ¥7,500 | ¥7,000 | ¥8,000 |
[図1.表1をグラフ化]

基準価額の設定は、最初に上昇するが、真ん中当りで半値になり徐々に上昇するようなケースを想定しました。イメージ的には、リーマンショックとその直後の値動きに近い形を想定してみました。
4.シミュレーション結果について
試算の結果ですが、積立投資の場合だと基準価額は10,000円に戻っていませんが、12ヶ目にプラスの損益となりました。最初に一括投資で12万円購入してしまった場合は、基準価額が戻っていませんので含み損のままです。[図2.評価損益の推移]

この様な現象が起きるのは、基準価額がさがり平均購入単価が下がるとともに、購入する口数が多くなるためです。評価額は、評価時の基準価額×口数で算出されますから、積立投資の場合に購入口数が多くなったことによるものです。
[図3.平均取得単価の推移]

購入口数の累計は、図4をご覧ください。積立投資の場合が10ヶ月目以降で、一括投資の場合を超えています。投資総額が同じでも、積立投資の場合は、購入できた量が多くなったことにより、一括投資より早めに回復したのです。
[図4.購入口数]

積立投資による、ドル・コスト平均法の効果を簡易的に説明しましたが、あくまでも上記は理論値です。実際には、下落し続けて最終的に上昇しないと評価益はでないですし、その下落期間もとてつもなく長く続くかもしれません。
また、加齢とともにリスクを落とすために売却しようとした時に株価が上昇しているとは限らず、下落基調が継続している可能性があります。さらに、右肩上がりならドル・コスト平均法のメリットは低くなります。なので、有利でも不利でもなく、決して万能な仕組みではありません。
将来的に、地球経済全体は成長し、株式市場も上昇していくという前提が必要になります。たぶん上昇する可能性が高いだろうということから、この手法は広く長期投資家から支持されているのでしょう。将来的に上昇する可能性が高いと信じるなら、一括でいいんじゃない?という矛盾はありますが。
なお、今回のシミュレーション結果の詳細は、以下表2及び表3の通りです。これらデータを図として表示しております。
[表2.シミュレーション元データ(一括投資の場合)]
<一括の場合> | 1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 5ヶ月目 | 6ヶ月目 |
---|---|---|---|---|---|---|
毎月投資額 | ¥120,000 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
投資額累計(元本) | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 |
毎月購入口数 | 120,000 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
購入口数累計 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 |
平均取得単価(1万口当り) | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
評価額 | ¥120,000 | ¥144,000 | ¥132,000 | ¥108,000 | ¥60,000 | ¥72,000 |
評価損益 | ¥0 | +¥24,000 | +¥12,000 | ¥-12,000 | ¥-60,000 | ¥-48,000 |
<一括の場合> | 7ヶ月目 | 8ヶ月目 | 9ヶ月目 | 10ヶ月目 | 11ヶ月目 | 12ヶ月目 |
---|---|---|---|---|---|---|
毎月投資額 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
投資額累計(元本) | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 | ¥120,000 |
毎月購入口数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
購入口数累計 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 |
平均取得単価(1万口当り) | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
評価額 | ¥84,000 | ¥78,000 | ¥84,000 | ¥90,000 | ¥84,000 | ¥96,000 |
評価損益 | ¥-36,000 | ¥-42,000 | ¥-36,000 | ¥-30,000 | ¥-36,000 | ¥-24,000 |
[表3.シミュレーション元データ(積立投資の場合)]
<毎月積立の場合> | 1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 5ヶ月目 | 6ヶ月目 |
---|---|---|---|---|---|---|
毎月投資額 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
投資額累計(元本) | ¥10,000 | ¥20,000 | ¥30,000 | ¥40,000 | ¥50,000 | ¥60,000 |
毎月購入口数 | 10,000 | 8,333 | 9,091 | 11,111 | 20,000 | 16,667 |
購入口数累計 | 10,000 | 18,333 | 27,424 | 38,535 | 58,535 | 75,202 |
平均取得単価(1万口当り) | ¥10,000 | ¥10,909 | ¥10,939 | ¥10,380 | ¥8,542 | ¥7,979 |
評価額 | ¥10,000 | ¥22,000 | ¥30,166.67 | ¥34,682 | ¥29,268 | ¥45,121 |
評価損益 | ¥0 | +¥2,000 | +¥167 | ¥-5,318 | ¥-20,732 | ¥-14,879 |
<毎月積立の場合> | 7ヶ月目 | 8ヶ月目 | 9ヶ月目 | 10ヶ月目 | 11ヶ月目 | 12ヶ月目 |
---|---|---|---|---|---|---|
毎月投資額 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
投資額累計(元本) | ¥70,000 | ¥80,000 | ¥90,000 | ¥100,000 | ¥110,000 | ¥120,000 |
毎月購入口数 | 14,286 | 15,385 | 14,286 | 13,333 | 14,286 | 12,500 |
購入口数累計 | 89,488 | 104,872 | 119,158 | 132,491 | 146,777 | 159,277 |
平均取得単価(1万口当り) | ¥7,822 | ¥7,628 | ¥7,553 | ¥7,548 | ¥7,494 | ¥7,534 |
評価額 | ¥62,641 | ¥68,167 | ¥83,411 | ¥99,368.55 | ¥102,744 | ¥127,422 |
評価損益 | ¥-7,359 | ¥-11,833 | ¥-6,589 | ¥-631 | ¥-7,256 | +¥7,422 |
5.まとめ
ドル・コスト平均法の仕組みについて簡単に紹介してみましたが、下落相場時における気休めには使えると思います。多く口数を買えているから、将来的に基準価額が元にもどるだけで利益がでるかもと信じられれば、長く投資をつづけられるかなと思いました。結局はリスクをとらないと、リターンは得られないので、安全な物はないと思います。株式市場に居続ける以上、いかに合理的な行動を続けられるかが大事かなと思いました。狼狽売りとかしないようにするための自分に対する仕組みとしては、積立投資は少なくとも有効ですね。
